いーぐるです。
今回は「VRChatのアバターに着せる衣装を作ってみたい!」という方に向けて記事を書きます。
すでに同様の記事やコンテンツはたくさんありますが、この記事では
- Blenderでモデリング
- サブスタでテクスチャの制作
- Unityでマテリアルの設定
という内容を15分で達成できるよう解説します。
この記事ではアバターのメッシュを複製する方法で、
こんな感じのパンツを作る方法を解説します。
作業の所要時間は、
- Blender(10分)
- サブスタ(3分)
- Unity(2分)
が目標です。
あえてパンツを選ぶ理由は、
- 布面積が少ない(作業が少ない)
- 揺れや貫通を考える必要が無い
- 他の衣装と合わせて、自作モデルをすぐにVRChatで使える
というメリットがあるからです。
衣装制作初心者の方が『作業の流れを覚えてとにかく完成させる』ことを第一目標として解説します。
Unityでアバターに合わせるところまで解説するので、制作したパンツをそのままアバター改変にご利用いただけます。
ちなみにサブスタ(アドビ『Substance 3D Painter』)は有料ツールですが、
- 初回の30日は無料で使える
- VRChat用の衣装・小物制作で使われることが多い
- テクスチャ・ノーマルマップを簡単に作れる
という理由で採用しました。
難しい作業は徹底的に省いたチュートリアルなので、
「Blender全然わからんけど、アバターの衣装を作ってみたい!」
「自作の衣装をVRChatで使いたい!」
という人は参考にしてください。
※Blender:3.3.1を使用します。
目次
【Blender】アバターのメッシュを複製して衣装モデルを作る
まずはBlenderを用いて上記の工程でパンツを作ります。
※この項目の所要時間は10分です。
0.使用するアバター・お手本の準備
解説に使用するアバターは2023年6月現在、メッシュの複製が利用規約で許可されていることを理由に、
あまとうさぎ様の『ラスク』ちゃんを使用します。
文章だけでは分かりにくいと思うので、
本記事ではBOOTHで無料配布している『おとこの娘ぱんつ』をお手本として解説します。
商品名はアレですが、キチンとしたパンツのFBXモデルが付属しています。
モデリングの際に形を参考にしてください。
1.1FBXをインポートする
ところまで進めます。
1.Blenderを起動させ、カメラなどを消す
Blenderを起動します。
中央のキューブ、カメラ、ライトをそれぞれマウスで選択して、キーボードのXキーで削除します。
2.アバター・お手本のFBXをインポート
アバターとお手本(パンツ)のFBXをインポートします。
※BOOTHで購入した作品は、ファイルを『すべて展開』しないと使えないのでご注意ください。
3.デフォルトの衣装と尻尾、Amatureを非表示にする
最初にデフォルトの衣装と尻尾、Amatureを非表示にします。
シーンコレクションの目のマークをクリックすると、表示と非表示を切り替えられます。
素体にお手本のパンツを履かせた状態になったら次に進みます。
1.2アバターのメッシュを複製する
という流れで進めます。
ココは重要な項目なのでよく読んでください。
1.透過表示の編集モードでメッシュを範囲選択
テンキーの1で正面からの視点に切り替えたら、キーボードのTabキーで編集モードにします。
キーボードのAlt+Z(もしくは画面右上)から透過表示をONにします。
透過表示がONになると、メッシュが半透明になります。
メッシュが半透明のままマウスで範囲選択を行うことで、囲った範囲すべての頂点を選択できます。
ショートパンツ程度の大きさで範囲選択した状態にしましょう。
※そのまま範囲選択をしても、お尻の側の頂点が選択されないのでご注意ください。
2.メッシュを複製→分離→膨張
という流れでアバターからメッシュを複製して分離します。
マウスで範囲選択をした状態で、キーボードのShift+Dを押すとメッシュが複製されます。
複製されたメッシュを右クリックして位置を確定させます。
複製された部位が選択された状態のまま、右クリック(又はPキー)から、
『分離』→『選択』をクリックします。
『body_2.001』という名前でメッシュが分離されました。
(※アバターによってメッシュの名前は異なります。)
透過表示をOFFにして、Tabキーでオブジェクトモードにしたら、
『body_2.001』を選択して再び編集モードにします。
キーボードのAキーで複製したメッシュのすべての頂点を選択します。
そのままキーボードのAlt+Sを押してメッシュを膨張させます。
膨張の数値は0,03とします。
(アバターより大きく、お手本の『おとこの娘ぱんつ』より小さく膨張させます。)
3.ミラーモディファイアの追加
左右対称に編集するのが大変なので、ミラーモディファイアを使用します。
(テンキーの1で正面からの視点にして進めます。↑)
再び透過表示にして、分離したメッシュの縦半分の頂点をすべて選択します。
※この時に中心の頂点は選択せず、中心を超えて左側にある頂点を選択します。
選択した頂点をキーボードのXキーで削除します。
拡大すると削除しきれていない頂点が残る場合があります。
マウスホイールで拡大して残さず削除します。
透過表示をOFFにします。
スパナのマークから『モディファイアーを追加』を選択します。
生成の欄から『ミラー』を選択します。
これで片側半分のメッシュが生成されました。
頂点を編集すると(鏡に映っているように)左右対称の編集ができます。
2.1 パンツの形に編集する
という流れで進めます。
1.ナイフツールで頂点を選択
前の項目で分離させたメッシュをパンツの形にします。
キーボードのKキーでナイフツールを起動させます。
- Kを押す
- マウスで選択していく
- Enterを押す
とすることで、メッシュの中に新たな頂点を生成することができます。
分離させたメッシュに元々ある頂点だけでなく、面の中央、辺の間なども選択できます。
※操作をミスしたらEnterで一旦確定させて、Ctrl+Zでやり直してください。
この時に既存の頂点の上をナイフツールで選択すると、上手く選択されないことがあります。
既存の頂点に近寄ると吸い寄せられるので注意してください。
上記の注意事項を踏まえて、パンツの形の頂点を生成していきます。
まずパンツの上側をナイフツールで編集します。
中央の縦の線から選択していき、マウスホイールを押し込んで視点を動かしながら、
お尻側まで繋いだら、Enterキーで頂点を確定させます。
次にパンツの下側をナイフツールで編集します。
(股の間から始めると難しいので)太ももの辺りからスタートします。
ナイフツールで『太もも→お尻→股を通して』選択した頂点を1周繋いだら、Enterキーで確定させます。
お手本に沿ってナイフツールで選択できたら、お手本のパンツを非表示にします。
(※シーンコレクションから『Pantu』を目のマークで非表示にします。)
2.メッシュを分離する
ナイフツールで選択した形でメッシュを分離します。
キーボードのHキーを押して、ナイフツールで選択した頂点を非表示にします。
股の辺りにマウスを移動させ、キーボードのLキーを押すと、
ナイフツールで選択した頂点の中央にある、すべての頂点を選択できます。
そのままAlt+Hを押すと、非表示(Hキー)が解除されます。
これでナイフツールで形作った頂点がすべて選択できました。
この状態でキーボードのPキーを押し、『分離→選択』をクリックすると、
ナイフツールで繋いだ頂点の形で分離されます。
分離された『body_2.002』の名前をシーンコレクションから変更します。(ダブルクリック)
記事ではカタカナで『パンツ』としておきます。
※『body_2.001』はもう使わないので、シーンコレクションから非表示にします。
3.パンツの形を整える
お手本を編集モードにして見比べながら『パンツ』の形を整えます。
※この項目は必要に応じて作業を行ってください。
『布面積を減らしたい時』は、
端の頂点を選択してキーボードのXキーで削除します。
『頂点の間にある頂点を削除したい時』は、
頂点を選択して、右クリックから『頂点を溶解』を選択します。
『体に埋もれた部分を直す場合』は、
キーボードのGキーで頂点を手前に移動させます。
『近くにある2つの頂点を1つにまとめたい』場合は、
Shiftを押しながら頂点を2つ選択して、キーボードのMキーを押し『中心に』を選択します。
『ミラーとの繋ぎ目に隙間』がある場合は、
ミラーモディファイアの『マージ』の数値を上げることで修正できます。
最初は0mになっているので、オブジェクトモードで変化を見ながら数値を上げてみてください。
以上修正できたらモデリングは終了です。
※解説では最低限の修正に留めておりますが、お手本を参考にクォリティを上げてみてもOKです。
2.2 ミラーモディファイアを適用する
微調整が終了したら、ミラーモディファイアを適用します。
そのまま適用しようとすると『シェイプキーのあるメッシュにミラーは適用できない』というエラーが出るので、
シェイプキーを削除するところから解説します。
1.シェイプキーを削除する
『オブジェクトデータプロパティ』のシェイプキーの欄から、
設定されているシェイプキーを『-』をクリックしてすべて消します。
※シェイプキーは複製元のアバターに設定されていたものです。
2.ミラーモディファイアを適用する
オブジェクトモードの状態で、ミラーモディファイアのプルダウンを開いて、
『適用』を選択します。
これでミラーの部分が適用されました。
※プルダウンはカメラマークの右隣から開きます。
※モデリングに不安が残る人は、ミラーを適用させる前にShift+Dでモデルを複製しておきましょう。
3.1 シームをマークする
という手順で行います。
透過表示をONにして、パンツを編集モードに切り替えます。
テンキーの3で真横からの視点に切り替えたら、スクショのように縦一列の頂点を囲います。
そのまま画面上の『辺』から『シームをマーク』を選択します。
パンツの左右両側にシームが入ったことを確認したら、透過表示OFFにします。
これでシームのマークは完了です。
3.2 UV展開をする
という手順で行います。
編集モードのまま、パンツの頂点を1つ選択して、
キーボードのAキーを押して頂点を全選択します。
そのまま画面左上の『UV』から『展開』を選択します。
画面上部の『UV Editing』をクリックすると、UV展開したパンツが表示されます。
※スクショのようにメッシュが表示されない場合は、Aキーで頂点を全選択してください。
以上でBlenderでやることは終了です。
『Layout』画面に戻って次に進みます。
3.3 FBXをエクスポートする
という手順でパンツのFBXをエクスポートします。
これらの項目を確認して『FBXをエクスポート』します。
設定が間違っているとトラブルの原因になるので、よく確認してください。
※次のステップでテクスチャも保存するので新規フォルダを作っておくと良いでしょう。
【Substance 3D Painter】サブスタでテクスチャを制作する手順まとめ
この項目では、アドビ『Substance 3D Painter』を使ってテクスチャを制作します。(以下サブスタ)
視点移動などの基本操作を覚えつつ、Unityで必要なテクスチャやノーマルマップを書き出す手順を解説します。
※この項目の所要時間は3分です。
1.サブスタにFBXを読み込む
画面左上の『ファイル』→『新規』からFBXを読み込みます。
確認するポイントは、
- テンプレート:Unity HD Rander Pipeline (Metallic Standard) (Starter Assets)
- ファイル:『選択』からFBXを選択
- 『OK』をクリック
してください。
FBXを読み込むとBlenderで制作したモデルが表示されます。
2.サブスタの基本操作・視点移動
視点移動はマウスとキーボードのAltを使用します。
- Alt+左ドラッグ→回転
- Alt+右ドラッグ→ズーム
- Alt+マウスホイール押し込み→移動
という具合です。
操作を誤った時はBlender同様にCtrl+Zで戻ります。
3.メッシュマップをベイクする
画面右側の『テクスチャセットの設定』をクリック、スクロールして
『メッシュマップをベイク』をクリックします。
いろいろな項目が出てきますが、今回は何も変えずに画面右下の
『テクスチャをベイク』をクリックします。
ベイク処理が完了したら『ペインティングモードに戻る』をクリックして戻ります。
4.テクスチャの編集
画面左上に今回使用する金色のマテリアルがあります。
マテリアルを3Dモデルにドラッグしたら作業終了です。
5.テクスチャの書き出し
画面左上の『ファイル』から『テクスチャを書き出し』を選択します。
変更するところは、
- 保存先のディレクトリ:任意のフォルダに変更
だけです。
画面左下の『書き出し』をクリックすると、選択したフォルダにテクスチャが保存されます。
これでサブスタの作業は終了です。
【おまけ】サブスタをもっと詳しく知りたい人は?
「サブスタをもっと詳しく教えてほしい…」という人もいると思うので、
僕が実際に購入して「わかりやすかった!」と思う教材を2点ご紹介します。
(※作品は無許可で掲載しているため、問題があったら消します。)
1.作ろう!VRChatのお洋服!【動画教材】
えるるっく様(@llookjp)の『作ろう!VRChatのお洋服』は、本記事同様に
- Blender
- サブスタ
- Unity
を用いて、VRChatのアバター用のお洋服(Tシャツ)を作る方法を解説しています。
メッシュを複製して衣装を作る本記事に対して、
『作ろう!VRChatのお洋服』ではモデリング方法がイチから解説されています。
解説もゆっくりで聞きやすくて、動画も16段階に分かれているので「気になるところだけもう一度見る」のも簡単です。
動画教材なので見比べながら進めれば、挫折する心配が無いのが個人的に良いなと思いました。
本格的に衣装を作りたい人におすすめです。
2.マッハで学ぶ SUBSTANCE 3D PAINTER Adobe
マッハで学ぶ SUBSTANCE 3D PAINTER Adobeのサブスタ攻略本 BOOTH
和牛先生様(@3dcganimation)の教材では、サブスタに的を絞って各機能の扱い方について詳しく解説されています。
こちらは衣装制作というよりは、小物を制作したい方向けですが、
綺麗な写真付きで見やすく実践的な内容を学ぶことができます。
蛇足になりますが、和牛先生様の教材は『マッハで学ぶ!VRワールド制作入門』で個人的にお世話になりました。
ワールド制作に興味がある方はこちらもおすすめです。
【Unity】制作した衣装をアバターに合わせる
最後に制作した衣装をアバターに合わせます。
※この項目の所要時間は2分です。
1.Unityへ制作したファイルを読み込ませる
Unityを起動させたら新規フォルダにデータを読み込みます。
いつも通りアバターをインポートして素体をHierarchyに入れておきます。
※ラスクのデフォルトのパンツを非表示にする方法は『★デフォルトパンツの消し方』をご覧ください。
- 『Assets』の中で右クリック、
- 『Create』→『Folder』を選択
して新規フォルダを作成します。
フォルダにわかりやすい名前をつけておきます。
フォルダの中に制作したFBXとテクスチャをドラッグして読み込ませておきます。
2.マテリアルの設定
- 『Assets』で右クリック、
- 『Create』→『Material』を選択
してマテリアルを追加します。
Hierarchyの中にパンツのFBXを入れて、
追加したマテリアルをパンツの中にドラッグします。
マテリアルの、
- Albedo:Base Map
- Normal Map:Normal
をそれぞれドラッグします。
ついでにMetallicの数値を1にすると白みが無くなります。
以上で完成です。
お疲れ様でした。
まとめ:Blender・サブスタ・UnityでVRChatのアバターの服を作ってみよう!
アバターのメッシュを複製して衣装を作る方法を解説しました。
今回初めてサブスタの月額契約をした方は、無料期間の終了と共に課金されるのでご注意ください。
ちなみに「制作した衣装をBOOTHで販売してみたい!」という方は、
こちらの記事で3DモデルをBOOTHで販売する方法をを詳しく解説しています。
本記事は以上でおしまいです。
※本記事で使用させていただいた作品
作者:こまど様 Twitter:@komado_booth